古典統計力学
統計集団:微正準と正準
統計集団とは、指定した巨視的拘束のもとで微視状態の確率を記述するための、系の仮想的な複製の集まりです。
統計集団とは、指定した巨視的拘束のもとで微視状態の確率を記述するための、系の仮想的な複製の集まりです。
定義: 量と意味
微正準集団は E,V,N を固定し、許容エネルギー幅内で等確率です。正準集団は T,V,N を固定して熱浴とエネルギーを交換し、ボルツマン重みを用います。β=1/(kBT)、Z=Σᵣe⁻ᵝᴱʳ です。集団は巨視的平均を求めるための確率模型であり、実在する複製ではありません。
定量関係
例: 例題
正準集団で E₀=0、E₁=2kBT の二状態を考え、P₁/P₀ を求めます。
解答
P₁/P₀=e^{−(E₁−E₀)/(kBT)}=e⁻²≈0.135 です。
例: 例:正準集団におけるエネルギー確率
縮退度が g₀=1、g₁=3 のエネルギー準位 0 と ε を考えます。正準集団で準位 ε の全確率には縮退度も含まれ、P₁/P₀=3e^(−βε) です。ε=2kBT なら比は 3e⁻²≈0.406、規格化すると P₁≈0.289、P₀≈0.711 です。高エネルギー準位でも微視状態が多ければ低い準位と競合できます。ルートヴィッヒ・ボルツマンは熱力学を確率的に解釈する方法を切り開きました。
巨視的物理量は集団平均から求められます。たとえば ⟨E⟩=−∂ln Z/∂β、エネルギー分散は Var(E)=∂²ln Z/∂β²=kBT²C_V です。分配関数は平衡熱力学と温度変化への応答の両方を含みます。短距離相互作用を持つ大きな系では、局所量について正準集団と微正準集団は通常一致します。小さな系、長距離相互作用、一次相転移近傍では、エネルギー揺らぎや相共存を慎重に扱う必要があります。大きな正準集団は、小系が残りの熱浴とエネルギーを交換する状況として理解できます。熱力学極限では相対揺らぎが小さくなり、集団平均が測定値をよく表します。分配関数から F=−kBT ln Z として Helmholtz 自由エネルギーも得られ、確率記述と熱力学が結び付きます。集団間で平均が一致しても、個々の微視状態の確率まで同じとは限りません。実験条件に合う集団を選びます。集団は確率模型であり、物理的な複製ではありません。
確認問題
正準集団で固定される量と、系が交換できるものは何ですか。
微正準集団で狭いエネルギー幅内の許された状態に割り当てる確率はどれですか。
参考文献
- Charles Kittel and Herbert Kroemer (1980). Thermal Physics
- L. D. Landau and E. M. Lifshitz (1980). Statistical Physics