古典統計力学
内部エネルギーとエンタルピー
内部エネルギー U は系の微視的エネルギー、エンタルピー H=U+pV は定圧過程に便利な熱力学ポテンシャルです。
内部エネルギー U は系の微視的エネルギー、エンタルピー H=U+pV は定圧過程に便利な熱力学ポテンシャルです。
定義: 量と意味
U は微視的な運動・相互作用エネルギーを含み、系全体の巨視的な運動・位置エネルギーは含みません。単純圧縮系で可逆な pV 仕事のみなら dU=T dS−p dV、dH=T dS+V dp です。定圧では pV 仕事のみの場合、エンタルピー変化は受熱量に等しくなります。
定量関係
例: 例題
単原子理想気体 1 mol を定圧で ΔT=10 K 加熱します。Cₚ=5R/2 として ΔH を求めます。
解答
ΔH=nCₚΔT=(1)(5R/2)(10 K)≈208 J です。
例: 例:加熱器を通る気体
単原子理想気体 1 mol を定圧で 300 K から 360 K まで加熱します。Cₚ=5R/2 で pV 仕事のみなら、加えた熱は Qₚ=ΔH=nCₚΔT です。R=8.314 J·mol⁻¹·K⁻¹ を用いると Qₚ≈1×(5/2)×8.314×60≈1.25 kJ です。このエネルギーは内部エネルギーを増やすと同時に膨張仕事にも使われます。
温度と体積一定では定積熱容量が内部エネルギーの変化に直接結び付き、定圧熱容量はエンタルピーの変化に結び付きます。理想気体を定圧で加熱すると膨張仕事にも熱が必要なため、1 mol あたり Cₚ−Cᵥ=R です。エンタルピーは「物体に蓄えられた熱」ではなく、圧力を制御する条件で便利な状態関数です。液体や固体では熱膨張が小さいため二つの熱容量は近いことが多いものの、その差は圧縮率や膨張率に依存します。蒸気表や流体機器の計算では、エンタルピーを使うとエネルギー収支を簡潔にできます。このためタービンや熱交換器でもエンタルピーが中心的に使われます。
確認問題
定圧で pV 仕事のみの単純系では、エンタルピー変化は何に等しいですか。
エンタルピーの定義式はどれですか。
参考文献
- Charles Kittel and Herbert Kroemer (1980). Thermal Physics
- L. D. Landau and E. M. Lifshitz (1980). Statistical Physics