熱物理学
熱機関・効率・カルノーサイクル
熱機関は高温熱源から受け取った熱の一部を仕事に変え、残りを低温熱源へ放出します。第二法則が最大効率を制限します。
熱機関は周期的に動作し、高温熱源から熱 を吸収して正味仕事 を生み、熱 を低温熱源へ捨てます。各サイクル後、作動物質は初期状態に戻ります。
定義: 効率とカルノー限界
熱効率 は、有効仕事を高温熱源から受け取った熱で割ったものです。絶対温度 の二熱源間で動作する可逆機関のカルノー効率 が最大値です。実機では摩擦、有限温度差での熱移動などの不可逆性により効率が低下します。
カルノーサイクル
カルノーサイクルは における二つの可逆等温過程と、それらを結ぶ二つの可逆断熱過程からなります。これは理想限界であり、有限時間で完全に実現できる設計ではありません。同じ二熱源間のどの機関も を満たします。
例: 理想効率
K、 K の間で動くカルノー機関の最大効率を求めましょう。
解答
、すなわち です。
確認問題
一周期の後、作動物質は初状態に戻るため内部エネルギー変化はゼロです。したがって第一法則から となり、出力仕事は吸収熱のうち低温熱源へ捨てられなかった部分です。 なら効率は1未満であり、二熱源間で動く循環機関には放熱が不可欠です。カルノー限界は作動物質の種類ではなく、熱源の絶対温度だけで決まります。 を上げる、または を下げると理想限界は上がりますが、材料や安全性が実機を制約します。冷蔵庫は熱機関を逆向きに運転し、仕事を使って低温部から熱を取り出し、暖かい室内へ放出します。したがって熱機関の効率と冷凍機の成績係数を区別してください。両者は第二法則に制限されますが、定義は異なります。
一周期で 800 J を吸収し 500 J を放出する機関では、出力仕事は 300 J、効率は です。この値をカルノー限界と比較すれば実現可能性を確認できます。限界を超えるなら符号規約か計算に誤りがあります。
一周期ごとに高温熱源から J を受け取り、低温熱源へ J を捨てる機関の仕事と効率は何ですか。
K と K の間で動くカルノー機関の最大効率はいくらですか。
参考文献
- Charles Kittel, Herbert Kroemer (1980). Thermal Physics
- Herbert B. Callen (1985). Thermodynamics and an Introduction to Thermostatistics