量子力学
角運動量とスピン
シュテルン=ゲルラッハの磁場勾配を通る粒子ビームを調べ、測定軸角と粒子数を変えてスピン ±1/2 の二出力を統計します。軸を回したときの確率 を確かめます。
器具
- 非一様磁場シュテルン=ゲルラッハ磁石を通るビームモデル
- 測定軸角θ・ビーム粒子数のスライダー
- +/−二スポット計数表示と逐次測定の図2
手順
にじみではなく二つの斑点
θ = 0、「ビーム粒子数」約120にすると、ビームが連続したにじみではなくちょうど二つの斑に分かれます。スピン量子化の証拠です。測定値は の二つだけで、電子固有の性質で古典的な回転ではありません。
測定軸を回す
「測定軸角θ」を0°から180°へ動かします。斑は連続的にずれず、二つの斑の粒子割合が変わります。θ = 60°、90°、120°で分布を数え、z方向の初期アップスピンに対し を確かめます。60°で75%、90°で50%、120°で25%。
逐次測定が状態を崩す
図2で粒子が異なる軸(z、次にx)のSG磁石を連続通過するのを見ます。最初の測定はスピンzを選別し、x方向の二度目はz結果を「忘れ」ます。分裂は50/50に戻ります。非可換な観測量()は同時に確定しません。
統計と予測
θ = 90° で「ビーム粒子数」を300にすると、50/50 まわりの統計ゆらぎは で小さくなります。θ = 45° の割合()を測定前に予測し確認後、スピン方向を乱さず「のぞけない」理由——量子暗号の基盤——を論じます。
シミュレーション
実験の歴史
1922年、オットー・シュテルンとヴァルター・ゲルラッハはフランクフルトで銀原子ビームを非一様磁場に通し、ランダム配向の磁気モーメントが連続的なにじみを作ると予想しました。ところがビームは二つの鮮明な斑に分かれ、空間量子化の最初の実験的証拠となりました。パウリは1925年に「古典的に記述不能な」二値の自由度で説明し、ウーレンベック–ハウトスミットが「スピン」と名付けました。
ディラックは相対論方程式にスピンを組み込み(1928年)、スピン1/2は手で足すのではなくディラック方程式から自然に現れます。量子角運動量の代数——結合則とクレブシュ–ゴルダン係数——は分光学・微細構造・MRI技術(ラビ、パーセル、ブロッホ)を一つの枠組みに統一します。