物性物理学
黒体放射とプランクの法則
熱平衡にある黒体の放射スペクトルは温度だけで決まります。プランクの法則は電磁モード密度と光子のボース統計を組み合わせ、紫外破綻を解決し、ステファン=ボルツマン則とウィーンの法則を導きます。
理想黒体は入射放射を完全に吸収します。平衡時の普遍的な放射スペクトルは温度 T のみで決まり、空洞材料には依存しません。各電磁モードは化学ポテンシャルゼロの光子ボースモードです。
定義: 周波数表示のプランクの法則
u(ν,T)dν は周波数幅 dν に含まれる単位体積あたりの放射エネルギーです。これはスペクトルエネルギー密度であり、波長表示の式は異なり、単に ν=c/λ と置き換えるだけでは得られません。
モードの量子化と極限
周波数幅 dν のモード密度は 8πν²/c³、光子モードの平均エネルギーは hν/[exp(hν/kBT)−1] です。積がプランクスペクトルを与えます。低周波では古典的レイリー=ジーンズ極限、高周波ではウィーンの指数減衰になります。
全スペクトル積分は T⁴ に比例するエネルギー密度を与え、単位面積あたりの放射出力に関するステファン=ボルツマン則と結びつきます。ウィーンの変位則ではピーク波長は T に反比例しますが、ピーク位置はスペクトル量の定義に依存します。
例: 例題
黒体の λmax=580 nm です。b≈2.90×10⁻³ m·K として温度を見積もりなさい。
解答
T=b/λmax≈(2.90×10⁻³)/(580×10⁻⁹)≈5.0×10³ K です。
確認問題
プランクのスペクトルは、場とエネルギーを交換する振動子に離散エネルギー n hν を割り当て、紫外破綻を解決します。光子モードの熱平均エネルギーから、化学ポテンシャルゼロのボース=アインシュタイン分母が得られます。8πν²/c³ は二つの偏光とモード密度を数えます。積分するとステファン=ボルツマン則、波長表示のピークはウィーンの変位則になります。周波数から波長への変換にはヤコビアン |dν/dλ|=c/λ² が必要です。
観測できる帰結の一つは高温物体の色の変化です。スペクトルは短波長側へ移り、全放射出力は急増します。実物体は近似的な黒体にすぎず、放射率は波長、方向、表面に依存します。熱平衡ではキルヒホッフの法則が同じ波長・方向の放射率と吸収率を結びます。スペクトルエネルギー密度と分光放射輝度を区別すれば幾何係数の混同を避けられます。
熱平衡の黒体光子の化学ポテンシャルはいくらですか。
該当する分布の分母の符号はどちらですか。
参考文献
- Max Planck (1914). The Theory of Heat Radiation
- Charles Kittel, Herbert Kroemer (1980). Thermal Physics