Physic Labs

電磁力学

静磁気とベクトルポテンシャル

電流を流す導線まわりの磁場とベクトルポテンシャル A\mathbf{A} を調べます。B=∇×A\mathbf{B} = \nabla \times \mathbf{A}、定理 ∮A⋅dℓ=∫B⋅dS\oint \mathbf{A}\cdot d\boldsymbol{\ell} = \int \mathbf{B}\cdot d\mathbf{S}、B=μ0I/(2πr)B = \mu_0 I/(2\pi r) の依存性を確かめます。

大学

器具

  • 導線まわりの場のモデル(A/B 2つの表示モード)
  • 振幅/源・波長/スケール・周波数/速度・視野角のスライダー
  • 「モデルA/B」切替ボタンと「一時停止」

手順

  1. 導線まわりの B 場を観察

    図1「導線まわりの磁場」で、磁力線が電流軸を取り囲むのを見ます。「振幅/源」スライダー(電流 I の増大に対応)を上げると磁力線の密度が増えます:B∝IB \propto I。「波長/スケール」を変えてズームし、BB が 1/r1/r で減衰するのを確かめます。

  2. 2つの表示モデルを比較

    「モデルA」「モデルB」ボタンで場の可視化を切り替えます(磁力線とベクトル場など)。図2「ベクトルポテンシャル A とゲージ」で、A\mathbf{A} が導線に沿って走り渦を形成するのを見ます:B=∇×A\mathbf{B} = \nabla \times \mathbf{A}。A\mathbf{A} に ∇χ\nabla \chi を加えても B\mathbf{B} は変わらない —— ゲージ自由度です。

  3. 束定理を確認

    図2で「周波数/速度」「視野角/係数」を変え、「一時停止」で静止させます。導線を囲む閉曲線を想像します:∮A⋅dℓ\oint \mathbf{A}\cdot d\boldsymbol{\ell} は貫く全束 ΦB=∫B⋅dS\Phi_B = \int \mathbf{B}\cdot d\mathbf{S} に等しい —— ストークスの定理の可視化であり、アハラノフ・ボーム効果の基礎です。

シミュレーション

実験の歴史

ベクトルポテンシャルはフランツ・ノイマン(1845年)により電磁気学に導入され、ウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)が誘導を書くのに用いました。マクスウェルは1855年の論文と1873年の『論考』で A\mathbf{A} を「電気運動量」として扱いましたが、次の世代(ヘヴィサイド、ヘルツ)は測れるのは B\mathbf{B} だけとして、A\mathbf{A} を単なる数学的手法と見なしました。 この見方は1959年に覆りました。ヤキール・アハラノフとデヴィッド・ボームは、量子力学では B=0\mathbf{B} = 0 の領域でも電子の位相が ∮A⋅dℓ\oint \mathbf{A}\cdot d\boldsymbol{\ell} だけずれることを示しました(アハラノフ=ボーム効果)。チェンバーズ(1960年)が実験確認し、外村(1986年)が決定的に示しました。ベクトルポテンシャルは想定以上に「実在」し、現代ゲージ理論の基本的対象です。

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