国際物理オリンピック · 2023年
問題
- 問題 1質量 の衛星が、質量 の孤立した球対称惑星の中心から距離 の円軌道を等速で運動する。抵抗と衛星が惑星に及ぼす影響を無視し、万有引力定数を とする。惑星の外部重力場は中心に質量が集中した場合と同じとしてよい。衛星に働く力として重力だけを考え、軌道半径は時間的に一定とする。(a) 力を特定し、円軌道の条件を立てよ。(b) 軌道速度 と一周に要する周期 を導け。(c) 結果が衛星質量 に依存するかを明示し、得られた式の次元が速度と時間に一致するかを確認せよ。速さは正のスカラーとして表し、運動方向は円の接線方向である。数値は与えられていないので、答えは定数と与えられた記号を用いた式で示すこと。半径を惑星の表面から測らず、中心からの距離として最後まで用いる。等速運動とは速さが一定でも、速度の向きが変わり続ける運動である。導出では円運動の加速度の向きにも注意すること。解答: 1
- 問題 2起電力 の理想直流電源、抵抗 、インダクタンス の理想コイルを直列に接続する。スイッチを閉じる前のコイル電流はゼロであり、時刻 にスイッチを閉じる。電流の正方向は電源が押し出す向きとする。内部抵抗を無視し、各素子は時間変化しないものとする。コイルの電圧は電流の時間変化率に比例し、抵抗の電圧降下はオームの法則に従う。(a) キルヒホッフの法則から の電流 を求めよ。(b) 十分時間が経過したときの定常電流 を求めよ。(c) 電流が に達する時刻を求め、初期値と長時間後の極限を確認せよ。時間の単位と時定数の次元が整合するように式を示すこと。抵抗が正なので過渡成分は減衰し、電流は定常値へ単調に近づく。電流の正負は冒頭で定めた向きを全計算で保つこと。特に定常値に対する割合で時刻を定義する。解答: 1
- 問題 3高さ の実物体を、焦点距離 の薄い凸レンズの前に置き、光学中心からの物体距離を とする。主軸はレンズに垂直である。実物体では 、反対側にできる実像では 、横倍率は とし、薄レンズの式 を用いる。物体は焦点の外側にあり、スクリーンで受けられる像を考える。高さの符号は主軸に垂直な座標で定める。(a) 像の位置を導け。(b) と像高 を求めよ。(c) 像が実像か虚像か、正立か倒立か、拡大か縮小かを判定し、 の極限を調べよ。さらに、物体が より遠い場合に像が縮小されるかを式から確認せよ。距離はすべて同じ単位で扱い、符号付き倍率と倍率の大きさを区別すること。像をスクリーンに結ぶ条件は実像であることを意味する。焦点距離が正であることを最後まで用いて位置を判定せよ。解答: 1